2020年秋

第1回 子海老書庵オンライン展覧会

Online exhibition 2020 Autumn

『然』

桃水

 

 

 

新型コロナウイルスにより制限のかかった生活の中で、「何か安全に楽しく取り組めるものはないか」と考え浮かんだのがこのオンライン展覧会でした。

 

今回は、子海老書庵として生まれ変わって初めての展覧会です。

 

取り組み期間が短かったこともあり、生徒さんによって練習量のばらつきがあったものの、

皆さん大変集中して取り組まれ、試行錯誤して一つの作品を生み出すことで学びの一歩となったのではないかと思います。

 

 

冒頭の書『然』

木の葉が自然と美しく身を染めていくように、媚びず、飾らず、自然体で輝ける女性になりたいという想いを込めて書きました。

 

 

 

  

テーマ「秋」

  

①自由書 “秋にまつわる言葉”

自由書は、原則お手本はありません。

皆さん自由に書かれた作品です。

制作意図を含め、出展された方のコメントを掲載しています。

変体仮名の読みは、説明文末尾の括弧内に記しています。

 

②課題書 「一日千秋」

一つのお手本をもとに取り組まれた作品です。

 

 

 

①自由書 “秋にまつわる言葉”

『散れば彩とどまれば色蔦紅葉 稲畑汀子句』

桃水

 

枝についているときはただの色に過ぎない蔦紅葉が秋の日に照らされ彩となってきらめき舞い散るように、皆さんの地道な練習の成果が輝かしく発揮されますように・・

『金木犀』

真弓子


『いちまいのもみ知可徒遅る静かさ夜 高浜虚子句』

飛鳥

 

(いちまいのもみぢかつちるしずかさよ)

『祭』

麻里


『ちいさい秋ちいさい秋みつけた』

浩美

 

子供の頃から耳馴染みのある童謡。

秋の風とこの歌のもつ“寂しさ”がリンクする。

『紅葉』

美水

 

秋と聞いて真っ先に思ったこと…紅葉。

日本の風情ですね〜!


『奥山尓毛みちふ三わけ鳴く鹿の聲きく時ぞ秋者可奈しき 猿丸太夫歌』

玲子

 

メランコリーな晩秋の秋。奈良高校の窓から見える春日山、その奥深い林にたたずむ鹿をイメージしました。

(おくやまにもみぢふみわけなくしかのこえきくときぞあきはかなしき)

 

『月光』

満春


『吾と君を繋いでいたかもしれぬものふっつり切れて十六夜の月 俵万智歌』

一穂

 

秋をテーマにしているものを探している時、随分昔に購入した俵万智さんの「サラダ記念日」の中から秋の月の歌とし、この歌を選びました。

当時、切なく感じたこの歌でしたが、戸惑いながらもリスタートを切る良い歌じゃないか!と受け取り方に変化が。歳を重ねるのも悪くないです。

 

『さんま』

るみ


『秋桜』

咲智子

 

限界まで頑張りました。

『おんなごころと秋の空』

明美

 

今の精一杯です。迷走しました。


『紫珠』

直子

『fall in love with you.』

亜矢香

 

このコロナの時期でNetflixの「愛の不時着」にすっかりハマってしまい、秋のfallとかけて希望を持ってドラマの様な素敵な恋愛が出来たらという意味で明るいトーンで書いてみました。


『焼芋』

美里

『玉蜀黍食べてきれいな芯であり』

一二三

 

玉蜀黍(とうもろこし)は秋の季語です。

俳句を書で表現するのは初めてでしたが、先生のご指導の下、何とか仕上げることができました。またチャレンジしたいと思います。


『桔梗』

聡友子

 

 

『三日月』

浩美

 

見上げると、澄んだ空にくっきり浮かぶお月様。

こんな夜は、少し遠回りをして帰ろうっと。


『本の可奈る曾ら能尓ほ悲や秋農はれ 高浜虚子句』

飛鳥

 

(ほのかなるそらのにほひやあきのはれ)

『鴻雁』

崇之

 


『秋雨 台南街帯雨 在檐下留休 女主人迎我 啜好茶土香』

真子

 

お茶屋さんの檐下で雨宿りをしていたら、店のマダムに招かれ、お茶をいただきました。そのお茶は、土の香りのする40年ものの老茶。大地に葉が還っていく様子を味わうような、不思議な体験でした。

いつかの旅先での一場面を、みようみまねの漢詩風に作詩しました。

 

『孔雀草』

蘇敏

 


『天髙気清』

澄夫

 

秋は気持ちがすっきりして習字に熱中できる季節なのでこちらを書きました。

『焚火したいましゅまろやきたいキャンプしたい』

典子


『紅葉』

美水

 

秋と聞いて真っ先に思ったこと…紅葉。

日本の風情ですね〜!

『なでしこ』

礼子


『だんご』

 

 

『沙ひ志さ能うれしく母あり阿支の具連 与謝蕪村句』

芙紀

 

たまたま開いた本に書いてあった与謝蕪村の句を選んでみました。

「さびしさのうれしくもあり秋の暮れ」という俳句です。

(私自身は秋の匂いが一番好きで、ひたすらワクワクしてしまいますが…。)

一緒に描いた絵は、こちらも蕪村の絵を見ながら真似して描いてみました。実はこの絵、「学問は尻からぬけるほたる哉」という作品と共に描かれている絵です。(勝手に違う作品とむすびつけてしまったこと…蕪村さんに謝らなければなりません…。)

先生のお力をお借りして、素敵な仮名の作品を完成させることができ、とても嬉しいです!!

 

(さひしさのうれしくもありあきのくれ)

 


『散ルモ儚キ此ノ命 不滅ノ心魂 永遠ニ』

広幸

 

今日を生きたかった命がある。

最期の最期まで闘い抜いた貴女へ

 

 

 

 

 

『秋山』

直紀

 

 

 

 


『村のまつりは夏のころひるまも花火をたきました

秋のまつりはとなり村日傘のつづく裏みちに

地面のしたに棲むひとが線香花火をたきました

あかいあかい曼珠沙華 金子みすゞ詩』

陽子

 

 

 

 

 

『どんぐり』

みゆき

 

 

 

 


『鮭かへる石狩川いのち那かるゝ』

 

(さけかへるいしかりがわいのちなかるゝ)

 

 

 

 

 

『林檎』

紀子

 

今の精いっぱいです…

 

 

 

 


『吾も亦紅奈りとひそや可に 高浜虚子句』

真喜子

 

小さな小さな秋の草花である吾亦紅(われもこう)。名前の由来は「われもこうありたい」とのはかない思い…からとも言われています。

目立たず地味なこの花を、それでも「自分も紅の花です」と控えめながら主張している…と詠んだ高浜虚子の句。いじらしくも愛らしい、気品と芯の強さに惹かれ、選びました。

仮名を習い始めて一年。文字や配置を一から自分で考えた初めての作品です。

 

(われもまたくれないなりとひそやかに)

 

『十六夜、人待月』

玲子

 

満月過ぎた夜に出る十六夜や立待月あたりは、月が出るのが遅く、まだかまだかと待ち遠しいことからその名前がついているそうで…。それにちなんで、十六夜満月を見ながら恋しい人を待ち焦がれる様子を託した造語です。

 


『灯火親しむべし 韓愈の詩』

千幸

 

 

 


 

 

②課題書 「一日千秋」

桃水

飛鳥/崇之

咲智子/美水

澄夫/麗奈

満春/みゆき

直子/紀子

一穂/美里

明美/麻里

蘇敏/千幸

典子/広幸

真弓子/恵

るみ/春菜

亜矢香/豊

 

 

 

 

 

最後までご鑑賞いただきまして誠にありがとうございました。

 

桃水